散歩をしていて、ある建売住宅の前を通るたびに、
「まだ売れてないね」と夫と話す。
駅に近いところだから、早々に買われるかと思っていたが・・・。
建売住宅が立つ前のことを、まだ記憶している。
そこは、昔からある歯医者だった。
が、看板が奇妙だった。
夜の10時まで開いているが、小児歯科とも書かれていた。
昼間にその歯医者の前を通ると、患者さんがいることは分かった。
数年前に今の住所に引っ越してきて、どこの歯医者に行こうかと考え、
その歯医者でなく、ちょっと離れた歯医者へ行くことにした。
が、私は歯医者の看板が気になって仕方がなかった。
小児歯科なのに夜まで開いてる?
ある日、フリーペーパーでその歯医者が受付をする人を募集していると知った。
自給が、他の歯医者より数百円高かった。
なぜ、高いの?
後日、新聞で、その歯医者で事件があったと知った。
求人に応募した女性が歯医者の院長に被害を受けたという性犯罪だった。
しばらくして、その歯医者は取り壊され、更地になった。
そして、そこに3軒の建売住宅が建てられた。
住宅を見に来る人はいるが、
まだ売れてない。
散歩しながら、自分に無関係な家について考えている。
こういうのが、野次馬根性と言うのだろう。
性犯罪が起きたことで、看板に抱いた奇妙さの意味が分かったのは良かった。