窓から外を眺める

専業主婦のつぶやき 

源氏物語の終活

源氏物語を読んでいて、良いなと思ったことがある。

 

それは終活。

 

年をとると自分が死んだ後のことを真剣に考える。今の私たちより真剣だと思った。なんとかなるだろうと楽観していない。

 

自分が死んでも娘が困窮しないよう、結婚相手を探す。独身のまま安心して暮らせる時代ではなかったようだ。

 

身分の高い女性は他の家の下働きなどできなかっただろう。

 

スエツムハナは常陸の宮の娘という高い身分だが、常陸の宮が亡くなってから食べるものにも困る暮らしぶりだった。

 

光源氏との出会いがなければ、世間から忘れられるだけでなく餓えて亡くなっていたかもしれない。

 

皇族の場合でそうなのだから、生きていくのは大変な時代だったんだと思う。

 

夕顔は、得たいの知れない女主人として登場するが、何を生活の糧にしていたか分からない。夕顔から光源氏にアプローチしてきたから、もしかしたら売春婦なのかも。よく分からない。

 

夕顔が何者なのか調べてみたいと思った。

 

夕顔は生き霊にとり殺されてしまい、娘の行く末を心配する間もなく若くして亡くなってしまった。

 

本当に可哀想なんだけど、娘はちゃんと生き延びていて縁あって光源氏に引き取られる。

 

ラクルな展開だった。

 

普通なら、親が突然死したら子はどうなるか分からないだろう。

 

でも、夕顔の娘の場合、ちゃんと養育してくれる人がいて、立派に育っている。

 

頭中将の娘に、近江の君がいるが、ちゃんと結婚した相手の子どもではなく、卑しい育ち方をして人前に出せない恥ずかしい娘と言われてしまう。普通、そうなると思う。

 

正妻、妾の子どもなら行く末を心配するが、遊び相手が産んだ子どもについては無頓着。

 

真剣に終活をしても、光源氏のような行き届いた終活は難しい。

 

光源氏は生まれも良いが、関係した人が不幸になっていないところがミラクルだと思う。

 

生き霊になったロクジョウでさえ幸福になっている。ロクジョウの娘・秋好が冷泉天皇の妻になるなんてミラクル。

 

光源氏のことは、あまり好きではないけど、関わった人に対して面倒見が良いのはとても良いと思った。

 

死んだ後も良い影響を残しているようで、終活としては完璧。