新聞でSF作家の眉村卓さんが亡くなったと知った。
とても寂しい。
中高生の頃、眉村さんの本を読んでいた。
大人になって読まなくなったが、最近、古本屋で見て懐かしくなり、
「強いられた変身」という短編集を買って読んだ。
笑えない暗い話が多いなあと思った。
中高生の頃の私は、きっと暗い話が好きだったんだろう。
年をとった今、「強いられた変身」にある話を読んで感じるのは、
戦争の影と管理社会への怒りだ。
宇宙空間で宇宙船を操縦するパイロットが、職人のように単調な仕事に没頭している。
パイロットを管理する行政官は、もっとパイロットの仕事を合理化しようと機械化を進めようとしている。
仕事に誇りを持つパイロットたちは、行政官に反発している。
そういう話を読み、今の世の中を見透かされているなあと感じ、少し暗い気持ちになった。
この本にある7つの話は、管理社会の窮屈さや、思考の自由を奪われて操作される恐怖を描いているようだ。
自由で笑える話が今は好きだが、
その裏返しで、自分の意志を奪われる話に怖さを感じるんだなあ。
中高生の頃、私はどんな思いで眉村卓さんの話を読んでいただろうか?
記憶を掘り返してみると、話に登場する現実離れした道具に興味があったようだ。
ある話では、顔を機械で加工して別人の容貌になれるというのがあったなあ。
また、この世と違う別次元から人間がやってくるという設定の話が多かった。
昔、異次元の世界があったなら・・・という設定が流行っていて、
思うようにならないことから逃げ出したいと思っていたかもしれんなあ。
「なぞの転校生」「ねらわれた学園」は、確か、人気があって映画化されたと記憶している。
けれども、ストーリーを忘れてしまった。
風紀委員が校則を振りかざし、生徒たちを取り締まる話だったかなあ?
好きで読んでいたはずなのに、忘れてしまうとは・・・。
記憶は風化するのだなあ。